40代独身女性が移住して見えた理想と現実
37歳のころ、ある日突然、右腕が上がらなくなりました。ジョギングをした翌日のことです。
ただの筋肉痛だと思っていたのに、数日たっても動かない。そして気づけば、今度は左腕も上がらなくなっていました。
両腕が使えない生活は、想像以上に不自由でした。髪を結ぶことも、服を着替えることもできない。まるでロボットのような動きで、半年近く過ごしました。
「これって、更年期なのかもしれない」そう思い始めた頃から、体だけじゃなく、心も不安定になっていきました。
眠れない日が続き、理由もなく落ち込む。
そしてふと、思ったんです。
「このまま、ずっとこの働き方でいいんだろうか」
振り返ると、私は大学を卒業してから15年間、ほとんど仕事中心の生活を続けていました。
40代が近づき、将来に不安を感じ始めた
30代後半になる頃には、毎日がただ過ぎていく感覚がありました。「このままでいいのかな」と考えることが増えていったのです。
私は前職はサービス業だったこともあり、世間がGWやお盆、正月など世間一般のお休みを過ごしたことがありませんでした。
仕事は残業当たり前、休み返上出勤などなど、激務で大変ながらも、15年間よく継続できたものです。
未来について考える余裕もなくもちろん転職も考えず、これが普通なんだと自分で言い聞かせていたのだと思います。
今考えるときっとブラック企業に値するような会社だったかもしれません。でも今みたいに働き方改革のような風潮もなく、自分の主張をできるような雰囲気もありませんでした。
就職氷河期世代だったこともあり、「今の仕事を辞める」という発想自体が怖かったのだと思います。
職場は女性が多く、出会いもほとんどありませんでした。
「私はたぶん、このまま一人なんだろうな」そう思うこともありました。
でもその一方で、どこかで「まあ何とかなるだろう」と楽観視していた部分もあったと思います。
気づけば、独身のまま40代が近づいていました。でも結婚願望はそこまで強い方ではなかったので、焦りはあまりありませんでした。
むしろ、自分はこの先どうなるんだろう、働き続けながら、あっと言う間に歳を取って、急に不安を感じ始めたのです。
40代を前に、体と心に変化が出始めた
30代後半になる頃、転職を考え始めました。
特に技能もないし、資格を取らないといけないのかと色々調べました。そんな中、縁があって37歳の頃に事務系の仕事へ転職することができたのです。
それなりに仕事量もあり、前職よりも給与は15%減りましたが、定時に上がれる、定期的な休みと祝日が休める、これはあの時の私には有難いの何よりでした。
ある日、本屋で何気なく手に取った「湘南ライフ」という雑誌。そこには、海の近くで、自分のペースで暮らす人たちの姿がありました。
「私、こういう暮らしがしたかったんだ」
毎日をこなすことだけで精一杯だった私は、初めて“生活を楽しむ”という感覚を意識した気がしました。
※ちなみに私が住んでいるのは湘南ではありません(笑)
でもこれが移住への最初のキッカケだったのかもしれません。その頃から、体調の変化も出てきました。
両肩が上がらなくなったことをきっかけに、不眠や気分の落ち込みも増えていきました。今思えば、更年期の始まりだったのかもしれません。
「このままではダメだ」と思い、移住を考えた
それまで軽かったPMSも年齢とともに重くなり、不眠や気分の落ち込みが続くようになりました。
手に職もないし、パートナーもいないし、1人でこのまま老後をどのように過ごすのかこんな事ばかり考えながら、不安ばかり積もっていました。
そして自分を見つめ直し、本格的に移住を考えたのです。
今までの私は、行動が少なすぎました。失敗が怖くて、最初の一歩が踏み出せない。転職が最初のキッカケでしたが、移住はそれを超える大きな決断でした。
移住先の選択肢はいくつかありましたが、その土地は知り合いが住んでいたこともあり、何度か訪れたことがありました。
もし家を購入するならここだと決めていました。ある日何となくネット検索していたら、ある物件がヒットしました。
不動産屋さんにすぐ連絡して内見を希望しました。本当に小さな一軒家ですが、小さな庭があり景色も良く自然を感じられる。
しかも値段もお手頃でここしかないと思い、即決したのです。家を買うってものすごいことだと思っていたのに、あのときは躊躇せず購入をきめたのです。
しかも、普通なら色々リサーチしたり、いくつか見たりするのに、最初の内見で決めたのです。
移住して感じた、理想と現実のギャップ
購入の際の資金準備について

当時は住宅ローンの知識もほとんどなく、不動産屋さんや銀行の話をそのまま信じていた部分もありました。
残念ながら転職して1年程なので、銀行のローンは取らず、独身 女性ということもあったのか当時では金利が高い変動金利ローンしか受け入れてくれませんでした。そんな中でも実は不動産屋さんには感謝しています。
条件が厳しい中でも、ローンを組める銀行を探してくれたので、あそこで断っていたら今の家には住んでいなかったからです。
ただし、あのときもう少し調べて、知識があったらよかったと時々考えることはあります。当時は、「家賃を払い続けるよりはいいだろう」くらいの感覚で、何とかなると思っていました。
あのとき、もっと住宅ローンについて調べておけばよかった。今でもそう思うことがあります。
一軒家は大変 メンテナンス お金かかる
家は住める状況でしたが、それなりにメンテナンスが必要でした。中古の家はやはり年限が経っているとメンテナンスが必要なのです。
住み始めて1週間後には給湯器が壊れ、水道管の修理やトイレの故障など、想定外の出費が重なりました。
中古の家なので、すぐに住めるわけでもなく、ある程度の予想を考えておかないと行けなかった。
景色だけでは決めてはいけない、移動問題は大事
仕事は事務職ですが、在宅ワークは許可されないため、週5日都内に通勤しています。通勤時間は約2時間30分。基本、朝6時15分に家を出ます。
「何のために移住したんだろう」そう思ったことも、正直何度もあります。一応最寄り駅まで徒歩20分とはなっていますが、家は丘の家に立っています。
景色に魅せられたことも理由の一つでした。
しかし理想と現実は違います。バス停もないので車がないと本当に大変です。最初は頑張って駅まで往復歩いていましたが、限界を感じ結局駅の近く月額で駐車場を借りることになりました。
これも想定外でした。
今はまだ大丈夫、でも、もっと歳を取ったらどうするんだろう。当時の「何とかなる」は、今思えばかなり無謀だったのかもしれません。
それでも移住してみて
それでも、移住して変わったことがあります。
心も体も限界だったあの頃の私が、少しずつ「生活」を取り戻せるようになったことです。
移住したからといって、すべての悩みが消えたわけではありません。更年期のような体調の波もあるし、将来への不安がなくなったわけでもない。
40代独身。
この先ひとりでどう生きていくのか、不安になる日もあります。
それでも、以前のように「毎日をただこなすだけ」の感覚は少なくなりました。
空を見たり、静かな時間を感じたり、自分の体調に目を向けたり。そんな小さなことを、大切だと思えるようになりました。
昔の私は、立ち止まることすらできませんでした。
40代独身で移住を考えることは、不安も多いです。でも、「今のままでいいのかな」と感じている人にとって、暮らしを変えることが、自分を少しラクにしてくれる場合もあるのかもしれません。
次は、移住して実際にどんなことが変わったのかについて、もう少し具体的に書いてみようと思います。
